約 85,632 件
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/247.html
機神激戦ヴォルフェンガー・SS 連続SS 第1話「機神、目覚める」 第2話「決意、揺らぐ」 第3話「宿敵、再び」 第4話「犬猿、争う」 DBへ SS保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/510.html
勇者騎士団ダイセイバー・SS 単発 第1話『アイツが落ちてきた日』 DBへ SS保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/227.html
準決勝戦【豪華客船】SSその2 「……造花」 花瓶の花に触れて呟いた言葉に、肯定の微笑みが返る。 「あの人が作ってくれたんです。もう、指も落ちてしまいましたけれど―― それでも、少しでも触れて楽しめる花のほうがいいだろうって」 「丁寧な造り。……器用な方なのですね」 庭師である満子には、それがクローバーの花である事が分かった。 しかしベッドに横たわる女性の両眼は、綺麗な白い包帯で覆われている。 花は彼女――白詰智広の名に因んだものか。 「――そして、優しいかた」 「そんな」 智広は、恥ずかしそうに笑う。 ……そうではないことを知っていた。 造花の造り主は“ケルベロス”ミツコの次の対戦相手、赤羽ハル。 白詰智広の後見人。 彼女にとって唯一の救いである赤羽ハルが、魔人暗殺者であると。 そして今まさに、公衆の慰みのために殺戮を繰り返していると―― そのような真実を告げる事など、探偵である末弟の『光吾』が許さないだろう。 「また、見舞いにお伺いしますわ。次は姉や弟とも一緒に」 「ありがとうございます。あの人の他に見舞いの人が来るなんて、本当に久しぶりで。 ……それだけで、嬉しくて」 白詰智広が“ケルベロス”の姿を見ることはない。 この距離で話す彼女の――満子の姿が実は、弟の光吾のそれだったとしても。 「……また伺います。また」 病室の扉を後ろ手に閉めて、『彼ら』は黙考した。 AD2019年に東京から広まった、未知の殺人ウィルス拡散――『パンデミック』。 生きながら光を失い、四肢すらも腐り落ちる白詰智広の症状は…… この形を持たない『世界の敵』が引き起こした悪夢の結末のひとつだ。 「殺さないのか」 待合室に差し掛かった時に響いた鋭い声が、彼らの思考を中断する。 顔を見ずとも、廊下脇のソファに座る男が何者であるかは、すぐに理解できた。 「……なあ。人質に取っておかなくていいのかよ? 二回戦みたいにさぁー……黒田武志を使って、あんたがやったんだろ? やれよ」 蛍光灯に伸びる影が、気怠げにソファから立ち上がる。 挑発に答えず、探偵として末弟が問う。 「――君こそ。敢えて『狙わせる』ために、会場に近い病院に彼女を移したんじゃないのか?」 「へぇ? 根拠は……なんだい」 視界の端でチャリ、と硬貨が鳴る。 「君の能力の調べはついている。負債を踏み倒すことができない制約。 白詰智広が『負債』そのものであるとすれば。自ら始末すれば、踏み倒す行為に当たる。 けれど例えば、あなたの故意ではなく。対戦相手に『始末してもらえば』……」 肩越しに振り向いた光吾の憎悪の瞳が、背後の赤羽ハルを射抜く。 距離8m。射程内だ――お互いに。 「なら……そうしろ。所詮殺人鬼なら、殺人鬼らしく。 善人ぶってンじゃあ、ねぇぞ」 「――お前こそ」 ミツコの眼の色が変わる。この距離ならば、長女。 「今ここで。殺る度胸はあんのかァー!? 『暗殺者』さんよォーッ!!」 蜜子は上体を低く構え、リュック内の各種調理兵装を意識する。 赤羽は、気怠げに片手をポケットに入れたままだ。それが臨戦態勢。 長い沈黙を経て、両者が武器を下ろす。 ミツコは、白詰智広を――この病院の患者の存在を思ったが故だ。 だが、相手はどうだったか? 「……僕の能力は、『世界の敵の敵』」 蜜子の現出で昂った感情を、抑えつけるように顔に手を当てて、光吾が呟く。 「主人公の魂の力を使って、悲劇を……理不尽を、改変することの出来る力」 「そうかい」 赤羽は既に歩き出していた。彼女の病室へと。 「――赤羽ハル。仮に君が望むのならば……」 「……」 彼は説得の途中で口を噤んだ。 くだらない――光吾自身がそう感じたからだ。 こんな言葉で止まる相手ではないと、探偵として十分に理解していたはずだ。 戦闘に及ぶ前に事を収めようとした今の行為は……自分自身の心の弱さの現れだ。 なぜなら、仮に戦えば。準決勝第二試合――豪華客船において、 “ケルベロス”ミツコと、赤羽ハルが、戦力を比較するのならば。 ミツコが勝利することは、決してない。 赤羽ハルの魔人能力は、『ミダス最後配当』。 魂を持たない……そして『価値のある』物体であるならば、接触のみで換金する。 光吾の探偵としてのスペックは既に、その制約までもを看破している。 ならば、能力を作用させる条件についてはどうか。 ――例えばその能力は、豪華客船そのものを換金できるだろうか? “ケルベロス”ミツコが多重人格魔人である事の、最大の利点。 無論ミツコ達自身は、それを自覚している。……自分達が何者であるのかを。 それは三重の人生を送った事による、異なる戦闘技能の蓄積ではない。 器は末弟『光吾』一人の肉体に過ぎず、その点では他の魔人と条件は同じだ。 経験の密度では赤羽ハルに、純粋な時間とノウハウでは偽原光義に、劣る程度のものだ。 彼らは自覚している。『3人いる』、まさにそれ自体が他の参加者に長ずる利点。 長女が直感し、次女が分析し、末弟が推理する……思考の量そのものであると。 地震のような重低音が、甲板に立つ光吾の靴裏を揺らした。 暗い海は水平線の輪郭すら夜に溶けて、客船の光の他に星の一つすら見えない。 戦場は、広大かつ入り組んだ豪華客船。 ありとあらゆる屋内環境においてトラップによる防衛を可能とする技術を備えながら、 “ケルベロス”ミツコが敢えてこの場で待つ理由があった。 (……赤羽ハルの『ミダス最後配当』は) 目を閉じ、両手に静かに垂らした糸から破壊振動を感知しながら―― 3人の中に潜む光吾は、静かに思考を巡らせる。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 (地球を換金できるだろうか?) ――否。それが可能な魔人能力など存在し得ないし、存在したとしても、それを可能とする魔人能力者を生かす世界ではないだろう。 猪狩誠の異質極まる魔人能力も、『味方』を代償とする能力制約の変種に過ぎなかった。 ならば『ミダス最後配当』にも当然、他の物質変換能力同様、ひとつの条件が存在する。 (それは能力対象を、『ひとつの存在』として認識すること) 自分の立つ大地が地球であると知識で理解し……そう思い込もうとしても。 通常、人間は巨大すぎるオブジェクトをひとつの単位として『認識』できない。 それが認識を核とする魔人能力にとっての、壁となる。 ――この豪華客船も同様。全容を把握できるこの甲板からでなければ、換金はできない。 しかし“ケルベロス”ミツコの勝利を不可能とする理由の一つが、この戦術にある。 大会規定によるこのフィールドの戦闘領域は、『客船から周囲100メートル以内』。 ……だが。客船自体が消失したとすれば、ルール上何が起こるのだろうか? そこに戦場を規定するフラッグは、もはや何もない。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 戦場消失によるノーゲーム。 いくら絶命寸前まで追い詰めたとしても、赤羽ハルが甲板に触れれば、それで終わり。 仮にミツコが船内で戦闘準備を進めていたとしても、話は同じだ。 赤羽の望むタイミングで、全てはすぐさま終了する。 故にミツコは、それをさせないために……甲板を見張る必要がある。 (すべてにおいて圧倒的なまでに、敵に有利な戦場。 ここまでは強いられた悪手。今この瞬間にも、赤羽ハルは『準備』している。 戦場を破壊して、僕の逃げ道を塞ぎ、客船内の装飾品をかき集め――そして) これまでとは性質を異にする振動と風が空気を吹き抜け、ミツコの髪を揺らした。 前方で爆発が起こっていた。 (そして、来る。……犯行の手口は、可燃物によるバックドラフト。紙幣は、燃えるか) 目を静かに開く。床に垂らされた幾条もの糸が、意識の力で張り詰める。 炎に長く照らされる影が、ミツコの正面で揺らめく。 赤羽ハル。 戦闘開始時から続いていた鈍い破壊音。船の沈没を狙ったものではないだろう。 この豪華客船はバラストを含めた各部が高度にユニット化されている。 たとえ真っ二つになったとしても、しばらくは沈没しない構造だ。 ……ならば、消火装置と隔壁の破壊。この火災と爆発を行き渡らせる事が狙いか。 何のために燃やした。何かがある。この至近距離に姿を現した事を含めて。 「……理不尽な事実ってさぁー、どこからどこまでが……理不尽なんだろうな?」 戦闘距離内に踏み込んでいる。にも関わらず、赤羽は語り続ける。 「俺は所属組織が潰れて、組織の借金を負った。6000億だ。 ……それが理不尽か? なら、その事実を消したとしたら…… 暗殺組織は潰れずに、今の瞬間も、人が殺されてるわけか?」 「皮肉のつもりか? それが」 「――あの猪狩には『家族』がいたらしいが……その事実を消したな? それもよりによって、第二回戦の試合中に。 ……ハハ! 随分面白い『世界の味方』だよ、お前」 「…………」 光吾の人格は、指先の糸を弾いた。“リリアン編み”の手芸者技能。 糸の先に接続された係留ワイヤーは一瞬にして解けて、 甲板に吊られていた全ての救命ボートを切り離す。 「主人公の力で世界を救う能力。いい能力だな? その力を、あのタイミングで? 恵まれない子供の運命だけを変えるために?」 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「結局お前、自分が勝ちたかったんだろ? 世界のためだもんな?」 「幼稚な屁理屈」 既に変わっている。ゼロ距離。包丁。 「ご苦労、さんだなァ――!!」 首(ネック)。肩(トンビ)。胸(カルビ)。 最凶の好戦性と接近戦適性を持つ、長女蜜子の解体連撃。 人外の速度を誇るそれすらも、赤羽の鋭利な一万円札に全て切り払われる。 中華包丁と肉裂き鋏、右靴に仕込んだピックすらも。 日本銀行券――想定内。 機先を制し、一瞬相手の思考を近接戦に傾かせた事が、ミツコの狙いだ。 そしてミツコの風下に飛び退いた事が、赤羽の失策。 「よろしいのかしら? そんなところに立って」 「!」 殺虫ガスの噴霧。次女満子の殺意が、赤羽の足を止める。 如何に鍛え上げた魔人であろうとも、生命体としての化学反応は同様。 「――“手芸技”」 その怯みのうちに、仕留める。距離10m。光吾の切断糸の射程―― 「『巻き篝』」 光吾が地に手を突く。同時、甲板上に張り巡らせた斬糸罠が発動。 全周囲から赤羽ハルに絡み、巻き取るように寸断。 敵の動きを制限した一連の流れの中でのみ成立する……即死手芸技! (殺っ……) (――てない! まだ!!) 指先の糸を通じて違和感を触覚したその時には、遅い。 ミツコの眼前に、煌めく小さな何かが迫っていた。 バチチチチッと、肉が弾ける音がひどく近くで響いた。 莫大に膨れ上がった無数の硬貨散弾が、ミツコの肉体を撃ち抜いたのだ。 飛来物の視認すらままならなかったが、恐らくは指弾の要領で何らかの宝石類を撃ち出し、時間差で換金したのであろう。 ダメージに耐えて立つ僅かな時間で、既に光吾はそれを看破している。 「糸を武器に使うのは、まあ、悪い発想じゃない。 ……だが、肉と金属。切断部位の硬度を場所によって変えてやれば」 次の宝石を装填する赤羽ハルのジャケット内側から、ジャラジャラと硬貨が落ちる。 二回戦の経験を経て……紙幣だけでなく、硬貨をも仕込んだのか。 「一撃での切断が最も困難な得物でもある。……当然知ってるよな?」 「くすっ……まだまだ。勝ち誇る時間には早くはありませんこと?」 3つの精神容量を持つミツコに、揺さぶりによる動揺はあり得ない。 常に、最も精神的に安定した人格が制御権を行使する――次女、園芸部の満子。 奥歯に仕込んだ違法植物の種を砕き、傷口から伝わる痛みを一瞬にして消去。 「――無傷。」 「ハハッ、強がっちゃって。カワイーなぁー……」 撃ち込まれる銀の射線を避け、舞うように曲線的な走りで距離を詰める。 その一瞬は、他の2人の判断力を回復するに十分な時間だ。 (姉さん。毒ガスの効果は薄い。あいつがまず火災を起こした理由がわかった。 熱気による上昇気流……毒を吹き流す風だ) (――てェ事は、こいつが一番イヤがるのもミツコちゃんの戦法ってことだよなァー? 私に代われば、囮は上手くやれる) (分かりましたわ。けれどその前に、少し) そしてミツコの動きが、急激に変転する。曲線の回避から、回転しつつ跳躍! 野生(ワイルド)! 人格の切り替えによる思考方向の変化! 「ヒャッハァー! 取ったァ――ッ!」 交差した蜜子の両手には、無数の殺人武器! フォーク! ナイフ! 箸! スプーン! サーバー! マドラー! スポーク! 「頭上がお留守だぜッ! 満! 貫! 膳席!!」 「……くだらねぇことを」 飛来するカトラリーによるチェックメイトを見やり、赤羽は皮肉げに唇を釣り上げる。 その手には、札束。 「――『1,000,000』。」 投げ上げられた一万円札は、吹雪のように舞った。 空中の一枚を掴み、不可視の速度でナイフを叩き落とす。 返す手で次の一枚を掴み、フォークをも。 振り切ったその先の空間にも、紙幣が。 箸。スプーン。サーバー…… まるで、一撃で鈍った刃を次々と切り替え戦う剣士のように。 ミツコが飛び込むそこは、紙幣による斬撃の嵐が待ち構えていた。 「らッあああああああああ―――――ッ!!」 絶叫とともに蜜子の暗黒殺人料理、その技術のすべてが炸裂する。 無論、敵は本職の魔人暗殺者。札束舞うこの超至近距離では、尋常の技量の持ち主ならば互する事すら臨めない、が。 (『薬効』第二段階。神経加速がはじまりますわ、お姉さま)(神経の損傷部分はもう『編んで』ある。これで全力は出せるよ)(敵はプロ。無心でよろしくてよ。少しでもお姉さまが思考に手間取れば、終わります)(次は下から救い上げるように右手首へ。ガードが緩い場所は僕が見抜く)(麻薬効果の第三段階は3秒後。それまではお姉さまの体力で持ちこたえなさって)(リリアン斬糸は最初から甲板を取り囲んでいる。今の一瞬で発動した。手数は僕達が多い!) 連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。 札束と調理器具、そして隠し糸によるラッシュの応酬。 甲板には折れた包丁が、切断されたフライパンが、そして無数の紙幣が千切れて落ち…… 永遠とも思える数十秒の果て、赤羽の笑みも消える。 何故なら、その時。 (落ちきった)(……100枚の札束が落ちた)(残弾が切れる)(勝てる!) (お待ちになって、確か――)(そうだこの男、二回戦で……!) 一瞬の隙。蜜子の刺身包丁が赤羽ハルの鎖骨下動脈を精確に貫いた、その時。 ( 内蔵を) 負傷覚悟で動いた赤羽ハルは、その傷口から深く…… 深く、赤い肉塊を引きずり出していた。 不吉なそれが肉体から長く伸びて千切れて、紙幣に変わった。 ミツコの内臓が。 「――――ッ!!」 、 、 、 、 (内蔵を!)(盗まれた!!) 声もなく苦悶の叫びを上げる蜜子に代わり、光吾が判断を担う。 再び札束が宙を舞い、全てが終わったと……誰もがそう直感しただろう。 新たなる、致死の斬撃が迫り。 「死ねよ。主人公」 「……君がそうしろ」 それを振りぬく直前、赤羽ハルの立つ地が落ち窪んだ。 板が……彼の周囲だけ、狙ったかのように抜けた。 この瞬間だ。噴霧器はまだ生きている。至近距離からの殺人ガス散布。 「――ッ、ゴ、ハァァッ!」 「“造園術(ガーデニングアーツ)”! ……宿木による『腐食』。 お姉さまのカトラリーに……すべて、『種』を仕込んでましたわ!」 血を吐きながら叫ぶ満子。……早く。 「わ、悪ィ、が……こーいうところで、終わっちゃ、られねぇんだよ!」 赤羽が何かを、腐食の裂け目から落とした。 光沢から見て純金製。何らかの船内装飾に用いられた像か――そう、判断した瞬間。 重複するかのような、ゴバ、という金属音が船を満たした。 ミツコは赤羽の方向へとよろめき、無数の紙幣を握りこんだ斬撃に腹を貫かれた。 「っ……ぐぅぅ!!」 「ハハ……ハハハハハハ!」 、 、 、 、 、 、 、 、 一瞬、船そのものが傾いた。 裂け目を通って落ちた階下で、少なくとも数百万グラム以上の質量が、突如として出現したに違いなかった。 ……早く。 「……そちらは、風下!」 「甘ェ……よ」 殺人ガスが再び噴霧されると同時。 噴射口を狙って、赤羽の両指から硬貨が。 硬貨同士が宙で衝突し、火花が両者を爆発に巻き込む。 一瞬の煙が晴れた時には、既に2つのシルエットは打ち合っている。 鮮血と凶気を撒き散らしながら、両者のラッシュは絡みあうように続く。 連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。 連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。 連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃。連撃――――。 恐るべき拮抗を演ずる2人の思考は、そのとき奇しくも同調していた。 ……早く。早く。 、 、 、 、 、 、 、 早く、終わりが来てくれと。 「……かハッ、」 よろめいた赤羽ハルが、ついに甲板に手を突いた。 その、魔人能力――。 (……終わった) 既に生命力を絞り尽くしたミツコは…… 誰の思考とも言えぬ交じり合った認識で。虚ろに思った。 足元で豪華客船そのものが形を失って、崩れてゆくのを感じていた。 (僕らは全ての手札を見せてしまった。 ……勝負は、ついてしまった) (これで) 、 、 、 、 、 ( 僕らが勝つ。 ) ――『客船から周囲100メートル以内』。 大会規定によるその戦場範囲の指定は、果たして如何なる意味を持つルールなのか。 例えば戦闘の最中、客船が破壊されたとして…… その過程で客船の機能が失われたならば、それは『戦場』とは見做されないだろうか? そうではないはずだ。『どこまで破壊されれば客船ではないか』など、 運営本部を含めて、誰も判断できるものなどいないだろう。 フィールドを構成する部材は、最後の木材の一片まで、客船のままのはずだ。 常識的に考えるのならば、戦場がいくら破壊されようとも、 その時点で最も大きい体積の『破片』こそが……基準となるのだろう。 ミツコはこのルーリングについて、既に本部に確認を取っている。 この一点だけが、赤羽ハルの能力に対抗し得る『抜け穴』だからだ。 赤羽ハルは、この試合そのものをノーゲームにする事ができる。 そして、ある意味では『ノーリスク』であるこの戦闘において…… 赤羽はミツコの能力を、限界まで見極めようとするだろう。 勝てればそれで良し。仮に『引き分け』に持ち込まれたとしても…… この次の再試合において、ミツコの全ての能力に対策し、確実に殺害できる。 、 、 、 、 次がある。 相手がそう思い込んでいることが、唯一彼らが、付け込める隙――。 「……ひとつ」 「赤羽ハル。き、君の『ミダス最後配当』にも、明らかに分かる能力制約が、ひとつ、ある」 無数の紙幣が沈んでゆく海面に、ミツコは一人立っていた。 ……そう。立っている。 その足元には、海面に浮かぶ一枚の板。それは甲板を切り取った――巨大な、一枚の。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「触れていないものを換金することはできない。 元は、一つの……物品でも。切り離されたものは、ケホッ、すでに……別の物体」 ミツコは自身の腹の傷口を押さえて言った。 ――そう。魂持つ生物から、『内臓』を切り離すことができるように。 「最初から、甲板の一部を切り取って。僕の糸で、巻き取れるようにしていた」 「……君が客船を換金した時。それが終わりになるように」 「……」 見下ろす先には、赤羽が今にも沈みそうに、海面に浮かんでいた。 ……戦闘終了のアナウンスはない。『豪華客船』の構成部材は―― もはや板一枚とはいえ――確かに、ここに存在するからだ。 「……もう波に逆らう余力もないだろう。 海流はこの板から離れるように流れている。……これで、君の、負け。 そして」 ミツコは、一人の女性の顔を思った。冷酷な暗殺者、赤羽ハル。 それでも、彼女のことを思わずにここまで戦い抜けたはずがないのだから。 ……けれど、これで報われる。 勝たなければいけない。 僕は、世界の敵の、敵だ。 「……白詰智広もきっと、」 『参加選手の戦闘領域離脱を確認しました』 アナウンスが告げた。 『“ケルベロス”ミツコ選手は失格となります。 準決勝第二試合、勝者は――』 『赤羽ハル選手』 治療を終えて医務室を出ると、待合室のソファに座りこむ小さな影が見えた。 表面上は軽さを装ったまま、いつもの調子で声をかける。 「――よお。納得行かねえって顔だな?」 「……何が」 “ケルベロス”ミツコ。直接の戦闘でここまで食い下がった相手は、いつ以来だろうか。 だが、探偵にも殺人鬼にも、当事者でなければ分からないトリックというものはある。 「なにが、起こったんですか。あの時」 「なあ……ミツコ。お前の能力さ」 ソファの隣へと座る。 「世界が救えるなんて事が、どうして分かるんだ? 何の自信があってそんな事を言える? 主役の可能性。世界の敵。 ……どこかに根拠でもあるのか?」 「……」 「……だよな。戦って分かった。『自分が世界の理不尽を救ってやれる』なんて…… お前はそういう傲慢な人格じゃない。戦い方も分を弁えていた。 身の回りの奴らを。誰かを助けてやりたいとかさ…… そーいう、よくいるタイプの、良い奴だよ」 例えば、目の前の猪狩誠の存在で苦しむ、子供達の存在を。 あるいは――何も知らず赤羽ハルの身を案じる女性に、少しでも生きていて欲しいと。 ……ただ、そんなささやかな理不尽を。 ミツコは唇を噛んだ。 「それはお前の人格から出た魔人能力じゃあない……。 どうして、その本質も見えない能力に頼る気になった? 見えないものに頼っちゃあ、いけないわけだ」 「見えない――もの」 そうだ。あの戦場で。自分は何かが『見えていなかった』。だから、負けた。 領域のルール。あの板は、確かに豪華客船の甲板。 領域が破壊された時は、最も体積の大きな残骸が基準となる。 ……闇に包まれた海。火災。破壊音。風下。……客船は…… 「客船は――!」 ミツコは立ち上がった。あの戦闘のすべてが繋がった。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 「赤羽……ハル……! 切り離していたんだな……! 遭遇より先に……客船、そのものを!!」 豪華客船はバラストを含めた各部が高度にユニット化されていた。 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 たとえ真っ二つになったとしても、しばらくは沈没しない構造だ。 甲板での遭遇より先に、やはり赤羽ハルは『準備』を終えていたのだ。 破壊のための貨幣の種は、客船内にいくらでも存在した。 まさにあの時、豪華客船は『真っ二つ』になっていた――! 「なぜ……戦術的に不利な風下に立ち続けたのか。 どうして、火災を起こしたのか……」 ミツコは一人呟き続ける。 「明るい炎と煙で覆い隠して、白兵距離の自分自身に注意を向けて……! 暗い夜の海で、切り離されて流れていく船を見せないために。 風向きはそのまま、海流の流れる向き……」 「船を換金する時。 切り離されて流れた船が戦場の『基準』となったその時―― 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 、 風上に立つ者の方が、先に領域を離脱する……!!」 そのために。そのためだけに、あんなにまで……限界まで戦い続けたというのか。 試合の最初に何かを仕込んだと、意識を向けないため、だけに。 残骸が100m流れる……その時間を稼ぐためだけに。 「そーいうこと。……自慢しちまって悪いな? 俺は、どうしても勝ちたいもんでね……こういう時でも、『勝ち誇りたい』のさ」 「……あんたは!」 そこから先は声にならなかった。そんな事のために。 ……そんな事のために、白詰智広の命を。 「言っただろ? ……俺は、見えないものは信じない。 忘れたか? 俺は殺し屋なんだよ……目的のために人を殺して当たり前の職業だ。 お前の言う『理不尽』とやらで何億人が死のうが、知ったことじゃない。 俺が信じるのは、金と」 ソファを立ち去る赤羽ハルの手から、ひらひらと一枚の紙が滑り落ちた。 何らかの文書の複写だった。 「……契約だけだ」 ミツコはその文面を読んだ。 ……読んでしまった。 「……以上、WL社との契約内容に基づき。 ザ・キングオブトワイライトにて……“ケルベロス”ミツコの勝利を阻止し。 ――魔人能力による、通称パンデミック事件の改変を阻止すること。 ほ……報酬は――」 「白詰智広の、治療――」 ミツコは、膝を突く自分を自覚した。 『約束』。『私を思って』。 クローバー――白詰草の花言葉を、彼らは知っているはずだった。 「赤……羽……!!」 「クッ……ハハハハハハハ!! ハハハハハハハハハハハハハハハハハハハ!!」 「赤羽……ハル……! お前……ッッ!! 赤羽! ……赤、羽ェェェェェェェッ!!!!」 遠ざかる高笑いに届かぬと分かっていても、ミツコは何度も叫んだ。 それが絶望なのか。悲しみなのか、自分ですら分からなかった。 ただ、全てが悔しかった。 ――赤羽ハルは、死ぬ気だ。 準決勝第二試合――勝者 赤羽ハル。 (了) このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/dangerousss3/pages/177.html
第一回戦【底なし沼】SSその1 四六時中立ちこめる、白く濃い霧。 その下には、僅かな草が生えた泥沼と、鬱蒼と葉を茂らせた木々が点在する。 そして――泥地の中に紛れる、深く仄暗い水溜まり。 地元の人間ならば、決して近づかぬ“底なし沼”。 そこに踏み込み、戦を繰り広げる者が二組。 沼に喰われるのは、どちらなのか。 それは、勝利の女神だけが知っている。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「うー、湿地って涼しいトコじゃなかったんスか……? 汗ばんできて気持ち悪くなってきた……」 砂色迷彩のミリタリーベストに身を包んだ青年――魔人ヤクザ・夜魔口砂男は ぶつぶつと不満を漏らしつつ、したたる汗を拭いながら湿地を歩き回る。 その足元からは砂が流れ落ち、水分で緩んだ地面を固めていく。 泥に足を取られないための、沼に沈まないための応急処置である。 体調が万全ならば、湿地を砂で埋め立てることも出来たかも知れないが―― 今の砂男では、流石にそこまでの大規模な戦術は使えない。 底なし沼に落ちる危険を冒しながらも、地道に足で索敵をするしかない状況は 明らかに不利だが――それでも、彼はいつものテンションを保っている。 「……あん?」 そんな中、砂男はある異変に気付く。 がちゃん、がちゃん―― 機械を打ち付けるような無機質な音が、沼の生き物の合唱に混じって聞こえる。 蛙の鳴き声、衝突音、鳥の威嚇、衝突音。 「どうやら、エンカウント……ですかね?」 ……どのみち戦わねばならない相手なら、サッサと顔を合わせてケリをつけたい。 そう思い、音源へと歩を進める砂男。 やがて、濃霧の向こうに影が見えた―― 湿地帯に似つかわしくない、機械的なシルエットの丘。 その麓には、二つの長物を携えた人影。 砂の量を増やし、足音を消しながら巨影に近づいていく砂男。 やがて、霧越しに見えたソレは―― 冷蔵庫。ミキサー。二槽式洗濯機。ソファー。 古いゲームハード。タイヤ。旧式のパソコン――エトセトラ。 この湿地帯に人知れず、不法に放棄されたゴミの数々。 それらが積み重なった、ガラクタの山だった。 そして、そこにいた人物は――頭に三角巾を巻いた、白衣の清掃系女子。 対戦相手・聖槍院九鈴が、沼地に沈んだゴミを両手に一つずつ持ったトングで 器用に拾い上げ、積み上げていた。 「……うわーお。チリどころか粗大ゴミが積もってますね、こりゃ」 ぴたり。 砂男の呟きに反応し、黙々とゴミの回収を進めていた九鈴のトングが止まる。 「……貴方たちは、いつもそう」 そして、ゆっくりとした動きで振り返り――砂男を、生気のない狂気のこもった目で睨む。 聖槍院九鈴。 清掃者たる彼女には――自然を汚すゴミも勿論だが、それ以上に。 “社会のゴミ”が、許せなかった。 実際、彼女がこれまで処分してきた“生ゴミ”の大半は――ヤクザである。 廃品回収業を装い、処分費を貰ってゴミは沼地や山中へと杜撰に投げ捨てる。 軽トラさえあればそこそこの金が見込めるシノギとして、多くの末端ヤクザが 『大崩壊』からの復興のドサクサを受けて大量に闇廃品回収業を行っていた。 そんな連中を九鈴は何十人、何百人と『片付けてきた』。 「貴方たちは、ちらかしすぎます」 九鈴が、右手のトング――淡い緋色の光を纏う、漆黒のトング『カラス』を砂男に向ける。 カチカチと打ち鳴らすのは、宣戦布告の合図か。 「……悪ぃですが、ウチはそんなケチなシノギやるほど落ちぶれてねーですよ」 言い終わるが早いか、砂男が左手を振り、砂を撒く。 『砂のように眠れ』――浴びた者を眠りに誘う、魔性の砂を! 「……また、ちらかした。砂ボコリは細かいからきらい」 九鈴は眉をひそめつつ、右手に携えた『カラス』を開いて砂を掴むように一振りする。 飛び散る砂をトングで掴むなど、まず普通はできない。……普通ならば。 だがこれは、魔人同士の戦い……そこに『普通』や『常識』はない! 「おおーう……スゲーテクっすねえ……」 砂男が困ったような視線で、九鈴のトングの先を見つめる。 先程バラ撒いた砂が、一粒残らずすべて掴み取られていた。 これこそが聖槍院九鈴の魔人能力『タフグリップ』の力―― 掴んだモノを決して離さないという特性と、彼女の極めた聖槍院流トング道の技術を合わせれば。 飛散した微細な粒子すら、一纏めにして掴むことができるのである! 「……かえす」 「いや、返されても困……っとぉ!?」 そのまま、九鈴はトングを振りかぶり……砂男目掛け、挟んでいた物を投擲する。 砂男がどこか大袈裟な驚きを見せるのも無理はない―― 数秒前まで砂だったものが、彼女の膂力によって圧縮され、砂岩の礫となっていたからである! 砂の量自体が少ない分、大きさはせいぜい小石程度だが……それでも牽制攻撃としては十分。 身を捻り、回避する砂男に向けて連続の攻撃が襲い来る。 使い込まれたトングから繰り出される打突――聖槍院流トング道の技『片月』(カタヅキ)! 「! ぐっ……!」 先の戦いの消耗が響いている砂男は躱しきれず、左肩にその突きを受けてしまう。 肩骨に響く鈍い痛みをこらえつつ、砂男は後方へと跳び退がる。 (あのトングがある限り、近接戦じゃリーチの分不利っすね…… ……“仕込み”が済むまで、遠くから砂を使って攻めるしかねーかな、こりゃ) 足元から砂を生み出すことで、ぬかるみにはまる危険を防ぎつつ逃げる砂男。 しかし九鈴は追おうとはしない――代わりに『カラス』を砂男のほうに向け、そのまま虚空を挟む。 ……無論、いくらトングがリーチの長い武器とはいえ、既に数メートル離れた砂男に届くハズはない。 だが、次の瞬間。 ――バックステップを繰り返していたはずの砂男の襟首が、何かに掴まれ。 九鈴が、手にしたトングを引くのと同期して――砂男が、九鈴に向かって引き寄せられる! 「な、そんなのアリっすかっ!?」 砂男は即座に、九鈴が使った技を理解する。 周囲の霧が歪み、長いトングの形を為しているのを見たからである! ――『空気』を掴むことで、空気そのものを擬似トングへと変え…… 距離の離れた自らの襟首を掴み、引き寄せているのだと! これこそ、トング道の暗黒秘技『黄泉掴み』(ヨモツカミ)! 「っどんな吸い込み性能ですか、アンタ!」 予想外の攻撃に、慌てる砂男だったが――すぐさま、腰に差したブラックジャックを右手に構える。 速度に優れる棒形の『シンゲツ』を振りかぶり、腕を振る勢いと九鈴に引かれる勢い、 二つの加速を乗せて、そのまま勢いでねじ伏せるカウンターを狙う! 「……無意味」 しかし、すかさず九鈴は右手のトングの力を緩める……と同時に、砂男の身体が勢いを失う! エアトングが解除され、砂男の身体が僅かに宙に浮いた状態で解き放たれる。 「しまっ……!」 砂男は腕をそのまま振り抜くが、『シンゲツ』は届かない。 大きく空振り、どうしようもない隙が生まれてしまう。 「“掃除婦が一万のローマ兵の前に立ち箒を振ると戦場は砂漠と化した”」 その隙に九鈴が一歩踏み込んでリーチへと入り、『カラス』をそのまま横薙ぎに振り抜く。 トング道・禁じ手の一つ、打撃技『鋏打ち』! 「が、はぁっ……!」 ガラ空きになった胴に打撃をモロに喰らった砂男がよろめく。 続けざまに、左手に携えたもう一つのトングによる返す刀の打撃が迫る! 「これ以上は……させねえっての!」 咄嗟に、砂男が左手を翳した……次の瞬間! 勢いよく生成された砂と、足元の砂が集まって九鈴と砂男の間に壁を作る。 脆い即席の壁は衝撃であっさりと砕けて飛び散る――しかしそれこそ、この壁の利点! 「っ……!」 打撃の勢いはまだ残っていたが、九鈴は左手の一撃を中断し即座に一歩離れる。 その一秒後、砕かれた砂が九鈴の立っていた辺りを覆い尽くした。 判断が少し遅れていれば、散った砂を浴びていた――! 「っかー……惜しいなー……」 砂男が、忌々しげに呟く。 積極的に打って出る程の力が、今の砂男にはないが故の苦肉のカウンター策。 一度見せてしまえば対策が容易な、砂の城の如き策である。 (ただ、砂の壁で威力はだいぶ殺せるハズ…… ならカウンターを狙うまでもなく、防御と逃げに徹すればいいだけッス!) 砂男が再び砂の壁を構えた、次の瞬間。 砂の壁が、勢い良く粉砕され――そのまま、砂男目掛けて何かが飛来する! 「何ぃーっ!?」 不意を突かれ、慌てて飛来物から走って逃げる砂男。 数秒後、物体は泥の飛沫をあげながら地面へと叩き付けられる。 ――自転車!それが物体の正体! 「ゴミをかたづけるために、ゴミをつかう……ごめんなさい、自転車さん」 抑揚のない声で、投げつけた自転車に謝罪の言葉を呟く九鈴。 清掃者としては掟破りの、粗大ゴミの投擲攻撃! 聖槍院流トング道の暗黒秘技『災掴み』(マガツカミ)! 「ごめんなさい、テレビさん」 息つく暇もなく、砂男目掛けて今度はテレビが投げつけられる! 重量・形状共に攻撃力のより高い、旧世紀型のブラウン管テレビである! 「だあーっ、そんなのアリですかいっ!」 テレビを間一髪でかわし、必死に遠ざかる砂男だったが――走り回ったことが徒となる。 全力疾走のために力一杯踏み込んだ右足が、泥に捕まってしまう! 「ごめんなさい」 そして、九鈴が更なるゴミ――否、武器を投げつける。 「……っ!」 砂男は、向かってくるソレを見て青ざめる。 砂の壁を展開するが――その巨大さと、重量の前には意味を為さないことはわかりきっていた。 「――軽トラックさん」 九鈴が投げたのは、沼の底に沈んだ最も重い粗大ゴミ――軽トラックだった。 おそらく、ガラクタを投棄しに来てトラックごと飲まれたのだろうか? それとも、軽トラック自体が動かなくなりゴミとして捨てられたのか? ……残念だが、今となってはそれを知る術はない。 ただ一つ言えるのは。 数十トンの氷塊を振り回す筋力で、重さ数百キロの軽トラックを投げつければ。 手負いの魔人ヤクザなど、ひとたまりもなく吹き飛ぶということだった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「……が、はっ……」 軟泥にばしゃり、と叩きつけられる砂男。 その身体はもはや、立ち上がることすらできない、満身創痍と呼ぶに相応しい有様だった。 死こそ免れたものの、軽トラックの重量と、九鈴の膂力による速度が合わさった暴力は 砂男から、戦う力をゴッソリと奪っていった。 「まだ、死んではいけません。ゴミをかたづけるのは、わたしの役目です」 ゴミの“処理”は自らの手で――ということだろうか、九鈴が近づいてくる。 投擲されたゴミを踏み台に、沼に沈むリスクを無くした上で――砂男を介錯しに来たのだ。 「……言い残すことは、ありますか」 九鈴が、砂男に『カラス』を突きつける。 緋色の光が、一際強く光り――新たな『ゴミ』を片付ける気配に打ち震えているように見えた。 だが、砂男の口から漏れたのは……意外な言葉だった。 「“掃除婦はモップを振り上げファラオとその家臣の前でナイル川の水を打った”」 「……?」 自らが考えた文言を――自分以外に唱えられるはずのない呪文を聞かされ、九鈴は僅かに訝しむ。 一回戦で僅かに漏らした、その言葉を――なぜ、目の前のヤクザが、復唱しているのか? 「“川の水は血に変わり川の魚は死にエジプト人は……” この先、なんでしたっけ?」 砂男が九鈴に問うた、その瞬間。 両者の間に、紅い水の流れが姿を現した。 「……!! あ、ああ……!」 その光景に、九鈴は動揺を隠せない。 彼女の、狂気という繭にくるまれた正気が、警告を発する。 “妄想が、現実になるはずがない”――! しかし、その警告は一手遅かった。 次の瞬間、紅く染まった泥濘の中から。 ドスを携えたアキビンが、九鈴の懐へと飛び込んでくる! アキビン――そう、夜魔口赤帽その人である! アキビンだからこそ、呼吸を必要としない肉体だからこそ出来る――底なし沼への潜伏! もし、彼が生身の姿だったなら――この沼地に潜む、というゲリラ戦術は成り立たなかっただろう。 そして、アキビンだからこそ、この手段しかなかった。 聖槍院九鈴にしてみれば、アキビンは――『資源ゴミ』に他ならない。 『ゴミ』と『清掃員』が正面からぶつかれば、勝つのは『清掃員』に決まっているのだから。 ――だからこそ、奇襲! 相手の精神を確実に揺さぶる為の小細工も、 相手を油断させる為の勝ち目のない勝負も、 相手を待ち伏せ場所に招く無様な逃走劇も、 全ては―― 一撃で決める為に! 「……妄想は終いじゃあ、小娘ェ!!」 赤帽が、今まで押し殺していたヤクザ特有の凄みと殺気を全解放し。 緋色の刃を、九鈴の心臓目掛けて深々と突き立てた―― 筈、だった。 「ヌウッ……!」 アキビン・夜魔口赤帽は違和感に気付くと、すぐさまヤクザドスを手放して飛び退く。 違和感の正体は、刺したはずのヤクザドスにあった。――浅い。 「……あなどりました」 胸から短刀を生やし、口から血を吐きながらも。 聖槍院九鈴は、倒れることはなかった。何故か? その理由は、またしても彼女の能力『タフグリップ』にある。 ――九鈴の胸部、心臓目掛けて突き出した刃は。 彼女の服の内側に隠された、予備トングの内側をかすめ、そのまま胸に刺さった。 攻撃を防ぎきれぬと見た九鈴は、咄嗟にそのトングに対して『タフグリップ』を使い―― 心臓に達しようとしていた凶刃を、白刃取りしたのである! 「……わたしのせい」 胸のヤクザドスをそっと撫でながら、九鈴が二人を見つめる。 その目は、やはり虚ろだった。 先程の紅い川の光景による動揺と、胸の痛み。 その二つが、彼女の狂気の蓋を、開いた。 「わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、 わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、 わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい、わたしのせい」 「! なんじゃあ、ワリャア……っ!」 何処も見ていない瞳で、無防備となった赤帽目掛けて両手のトングを振り回す九鈴。 そこには、聖槍院流トング道の持つ技巧はない。あるのは、ただ純粋な狂気から滲む暴力。 得物のヤクザドスを失い、武器を持たない赤帽は回避の一手しかない。 魔人能力『血に染まる蛇の鮮血』を使い、九鈴を操ることも考えたが―― (あの娘の暴走っぷり……精神がイっとるな。 あの状態で飲ましたら、それこそ手がつけられん!) 赤帽の『紅い水』は、飲んだ相手を赤帽の意のままに操る効果があるが―― その効果は副次的な物に過ぎない。 支配が十分及ぶよりも先に、飲んだ者の強化作用が働く……つまり。 今の暴走した九鈴を止めることは、赤帽には出来ない! 「かたづけなきゃ、かたづけなきゃ、かたづけなきゃ――」 「!」 デタラメに振るわれるトングの軌道の一つが、赤帽の動線を捉えた。 アキビンの身体で喰らえば、待つのは粉砕されての、死――! しかし、その致命の一撃は……届かない。 「――!」 鈍い手応えに、九鈴がその手を止める。 ――分厚い砂の壁が、赤帽を守っていた。 「……なにが、アンタのせい、なんですか」 湿原に叩き付けられ、伏していた砂男が――上半身を起こし、九鈴を見据える。 「砂男……! アホウ、無理しとる場合か……!」 「赤帽サン……スンマセン、ここは、俺に」 睨む赤帽をよそに、砂男は続ける。 「なんで、片付けなきゃいけねー……んです、か。 何があった、ってんですか」 息も絶え絶えの状況で、砂男は――目の前の、壊れた女性に問う。 その様子に思わず、九鈴は――答えを返した。 なぜ、目の前の“ゴミ”が、そんなに必死に、私に問い掛けるのか。……わからない。 けれど、こたえなくちゃいけない。 ――なぜか、そう思ったからだ。 「……だって、わたしのせいで。 核がおちた。ウイルスがひろがった。まちがなくなった。戦争がおきた。 父さんがしんだ。母さんがしんだ。九郎がしんだ。 ともだちが、みんなが、いきものが、みんなみんなしんでいった」 虚ろな瞳から、涙を一筋流しながら。九鈴は、慚愧と後悔と自罰に満ちた言葉を紡ぐ。 「わたしが、ちゃんと――そうじ、できなかった、から」 その言葉に対し、砂男は――生命力を絞り出すかのような大音声で、叫ぶ。 「……何言ってやがんですか、このアホウ!!」 「ひっ……!?」 思わぬ怒声に、九鈴が思わず身を竦める。 だが、彼女の怯えに構わず砂男は叫び続ける。 「アンタが掃除できなかったから核が落ちた? 掃除できなかったからウイルスが広がった? 掃除できなかったから大事な人が死んでったぁ? ……っそんなわけ、ねえだろうが!!」 ばしゃん、と湿った土に拳を打ち付ける。 そして、次に紡がれた言葉は―― 「……だって、アンタ。 ここの奥底に沈んでたこいつら、引っ張り上げたじゃねーですか」 今までの怒声が嘘のような、優しい言葉だった。 「――!」 「戦う前から、ゴミ拾いやってて…… ゴミを、どーしても、俺にぶつけなきゃいけねー時にはゴミに謝って…… そんなアンタが、掃除できてないワケが無いじゃねえですか! だから――核がどうとか、ウイルスがどうとか、ましてや、アンタの家族が死んだのだって! ……アンタのせいじゃ、ねーんですよ」 砂男が喋り終え、力尽きて泥溜まりに横たわると同時に。 「……う、う…… うわあああああぁぁぁぁぁぁん!!!」 九鈴は、思わず泣き叫んだのだった。 心の底で、誰かに。そう言ってもらいたかった。 そう、言っているかのように。 「……そーそー、辛いなら泣き叫べばいいんです、よ」 そして、泣きじゃくる九鈴に向けて――煌めく砂が、風に乗って届く。 「これから色々、向き合ってくにはまーだ辛いでしょうが…… せめて今は、砂のように眠んなさい、な」 砂が九鈴を包み、その瞼を閉じると同時に。 砂男の身体も、泥の中へと沈んでいった。 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 「……全く。あのアホウは、どこまでお人好しなんじゃ」 積み上げられた瓦礫の山の頂上に佇み、赤帽は眼下の泥沼を見下ろす。 「まあ、あの状況で勝ち星拾ったことは……後で褒めたるわい」 底なし沼の戦い――その顛末。 夜魔口砂男、死亡の後、底なし沼に沈む。 聖槍院九鈴、睡眠により戦闘不能。 夜魔口赤帽、無傷。 大会ルール第13条第4項―― コンビの片方の生存により、夜魔口組の勝利と相成った。 このページのトップに戻る|トップページに戻る
https://w.atwiki.jp/tokimeki_dictionary/pages/98.html
I will be ashamed if I go home with you and be gossiped by my friends 一緒に帰って友達に噂とかされると恥ずかしいし【いっしょにかえってともだちにうわさとかされるとはずかしいし】 概要 評価 派生 その他 関連項目 『1』のメインヒロイン・藤崎詩織の名言(迷言?)の一つで、今日では半ばお約束ともなっている台詞である。 概要 詩織に対して、下校イベント時に友好度・ときめき度を一定以上満たしていない状態で誘うと、この台詞でお断りされる羽目になる。 ゲームを開始してすぐに、幼馴染みだからと気軽に誘ったほとんどのプレイヤーが言われたであろう台詞。 詩織に関しては、余計なことを言わずに雑談しながら帰れば済むことだと思うのだが。たとえ帰る方向が同じでも相手の許可を得るのがこの世界のマナーということか。 詩織の下校イベントが発生する前に要領よく好感度を上げれば、これを聞かないまま下校することも可能である。 隣同士なのに、何故かデートも現地集合だが、やはりご近所に噂されるのも恥ずかしいのだろうか…。 評価 「なにもこんな言葉で断る必要はないだろう…」と画面に向かって突っ込みを入れたプレイヤーは数知れず。 一方で、主人公の断り文句も「残念ながら俺様は忙しいのだ」という、人の事は言えないものなのだが。 ちなみに、如月未緒も同様の台詞を言うのだが、詩織に比べるとインパクトに欠ける感は否めない。詩織は他キャラより低い好感度で下校イベントが発生するようであり、真っ先にこの台詞を聞かされるせいもあるだろう。 しかし、パラメータが上昇したり、学校行事で好結果が出たりすると、この台詞を言った翌週には手のひらを返して、「家もお隣同士だし、たまには一緒に帰ろうと思って…」などと言ってきたりもする。 向こうから誘われた場合の主人公の返答も「恥ずかしいからいいよ」である。 大抵の相手に言う断り文句だが、詩織に言った場合は意趣返しにも聞こえてどこか大人げない。 しかしながら、「恥ずかしいのか、それなら誘わなくてもいいんだな」という訳にはいかず、主人公が「じゃあお先に」と言って誘わずに1人で帰ると、詩織の傷心度はしっかり上昇してしまう。 他キャラがまだ誰も登場していないなら、内心の腹立たしさを押さえつつ、爆弾発生遅延対策と割り切って必ず誘おう。 断られてもわずかながら友好度は上昇するはずである。 本当に頭が痛い事態になるのは、詩織以外の誰かが登場してからである。 あだ名を「こなみまん」にすると、のっけからデートに誘ってきたりする割に、下校時ではしっかりこの言葉を吐く。 よく分からん羞恥心である。 それにしても、主人公の方から詩織に爆弾を仕掛けてもいいレベルの台詞だと思うが、主人公も詩織同様に鬼畜レベルの台詞を吐くので、そこはお互い様であろう。(もっとも、この類いの台詞しか用意されていないので気の毒ではあるが…) 余談だが、詩織がこのセリフを言う状態で主人公が彼女を誘わずに帰ろうとする時の『さよなら』の言い方は、どこか気合いが入っているように聞こえる。 誘われずに傷心度が上がった故の仕返しなのか、そこまでして一緒に帰りたくない意思表示なのだろうか…。 ただ、PCE版が発売された1994年頃は、男女が2人で一緒に下校するだけでも付き合っているのかと聞かれ、 異性の幼馴染と仲が良さそうに見えることもからかわれるような時代だったため、 両方の要素が重なった相手に「噂されると恥ずかしい」という理由で断られるのは別段酷い反応というわけではない。 ゲームの幼馴染にリアルな反応をされたくないと思うのも当然であるが。 派生 他作品では、『2』の寿美幸と一文字茜は評価が普通以下の時、同じ趣旨の発言で下校を断られる事がある。 詩織と違って必ず断られる訳ではないが。 詩織に憧れている『4』の皐月優も一言一句違えずに同じ台詞を言う。 皐月の場合は、好感度が普通状態だと下校イベントで声を掛ける事が出来ないので、友好以上の状態での発言という事になる。 幼なじみという繋がりが無いとはいえ、詩織以上にお高くとまっているとも受け取れる。 いくら憧れているとはいっても、こんなところまで真似なくてもよさそうなものだが…。 何故か、『GS2』の若王子貴文もこの台詞を言うが、ある程度友好度・ときめき度が上がった状態でないと言わない。 ただ、同時攻略(いわゆるハーレムプレイ)をやっていると、「一緒に帰る」⇒「他キャラの傷心度が上がる」⇒「爆弾への道まっしぐら」…となるので、この「一緒に帰って~」は、序盤の詩織からのありがたいアドバイス…と解釈した方がいいのかもしれない。 なお、こういった隠れたアドバイスは『2』の花火大会の時に陽ノ下光も言ってくれるが、こちらは全く洒落になっていない。 「花火の音と迫力が震えちゃうくらい凄い」→「陽ノ下光の爆弾が震えるくらい恐ろしい」という解釈も出来る。 『2』における光の爆弾製造器ぶりは別格であり、花火などという生易しいレベルではないのだが…。 逆に、向こうからデートや学校行事に誘われた時にOKすると「断られなくて良かった」と言われる事が多い。 これは言葉通りの意味もあるだろうが、「誘いを断る→傷心度が急上昇→やがて爆弾点火」というゲームシステムを見るに、「断ったらどうなっていたか分かるよね」という脅しにも思える人もいるのではなかろうか。 皐月と龍光寺カイの両方と知り合っていて、皐月と友好以上かつ彼女が在学中の場合は下校時に2人との会話イベントが発生するが、この時、先に帰った龍光寺に関して皐月が「たまには一緒に帰ろうって誘ったんだけど……。噂されると恥ずかしいって断られちゃった……」という台詞が聞ける。 このイベントを起こすと、龍光寺・皐月両方との友好度が上がる。 『4mobile』では、主人公が井ノ倉唯と会話する際の選択肢にこの台詞とほぼ同じものがあるが、言ってもあっさりかわされる。 その他 コナミの音楽ゲーム「beatmaniaIIDX」のアーケード版にもっと!モット!ときめきのカバーが収録された際に、この曲のレイヤーアニメの中で同ゲームのレイヤーキャラの1人である大犬さんがこの台詞をときメモ風の画面で話すというものが使われた。 日付は4月17日(木)。確かに1年目のこの時期なら、この台詞を言われても当然ではある。 関連項目 行事・イベント 藤崎 詩織 残念ながら俺様は忙しいのだ
https://w.atwiki.jp/bokurobo/pages/473.html
-SHADOW CRISIS-・SS 単発 miion1「mitk」 DBへ SS保管庫へ戻る
https://w.atwiki.jp/yukaeto/pages/37.html
まじアン骨董祭用投下SS ある水曜日の昼下がり みやたあすか日記バレンタイン編 柏木結花(仮名)編
https://w.atwiki.jp/ogasawara-game/pages/71.html
https://w.atwiki.jp/kyuutei/pages/11.html
おおはら担当の小説ページ 痛い妄想中心 歴史モノも書けたらいいなぁ 【閲覧者数】 動画 【web拍手】 三国志 燎原の火-サンプル-(夏コミ小説サンプル) 金の花 金の花-1 金の花-2 -上へ その他 -上へ
https://w.atwiki.jp/ori9tenti/pages/16.html
本編SS目次 OP NO. タイトル 書き手 時間帯 場所 登場人物 000 「天国か地獄」 ◆sPL2BgePzw 開始前 閻魔の間 高山信哉、斉藤花子、死神エレキシュガル、閻魔・慟哭王 第一放送まで NO. タイトル 書き手 時間帯 場所 登場人物 001 骨の看護婦と標本の医者の歪んだ目的 ◆Bmn./sC95Q 未明 I-4 本表体人、名無しさん 002 「ブラッディ・ワルツ」 ◆sPL2BgePzw 未明 E-6 ブラッディー・バレンタイン、ラファエル・キルシュタイン 003 狂った兵器 ◆Bmn./sC95Q 未明 H-2 Many_arms(M-A023) 004 現実《リアル》の救い手は用心棒、夢は無いだろうけど、救いがないよりましだろ? ◆Bmn./sC95Q 未明 G-7 姫園炎間、宮野陽子、ビアー・バーンズ 005 ファニー・クラウン ◆Bmn./sC95Q 未明 H-6 クラウン 006 「好きこそものの全てなれ」 ◆sPL2BgePzw 未明 B-6 あんぱん犬、パン食いガール、黒田喰院 007 マフィアと剣士と殺人鬼 ◆X8NDX.mgrA 未明 B-8 赤川菊人、飯綱景人、サリー・レスター 008 地獄の沙汰も楽しみ次第 ◆mN4ZziElgg 未明 E-2 ロージ、亡狐 009 「クワイエット・ハンティング」 ◆sPL2BgePzw 未明 I-7 ガイル・バッグウェル、虎丸、AK-47 010 アフロ時々リーゼント ◆Bmn./sC95Q 未明 F-4 Mr.田中博士、佐藤勇 011 「標本の医者の歩幅は60センチ」 ◆sPL2BgePzw 黎明 G-4 本表体人 012 昨日と今日の狭間で ◆X8NDX.mgrA 未明 E-3 高山信哉、アイレア・オッド 013 「道化と不死者」 ◆Bmn./sC95Q 未明 H-6 クラウン、イリス・ハンニバル 014 無題の終わり 未定の始まり ◆zWrQgp4CVk 未明 E-5 アイボタル、無代ミテイ(仮) 015 「吸血大サービス」 ◆sPL2BgePzw 黎明 F-7 姫園炎間、ブラッディー・バレンタイン、ペルオ・ラッセル 016 できすぎた女 ◆X8NDX.mgrA 未明 F-9 村雨葵 017 「きわめて受動的な自殺」 ◆sPL2BgePzw 黎明 F-2 ボー・エンザー、イサギヨWB-07、Many_arms(M-A023) 018 黒虫愛好な不気味さん ◆Bmn./sC95Q 未明 F-3 蟲之黒玄 019 『毒蛇』 ◆Bmn./sC95Q 未明 F-8 カーミラ・フランケンシュタイン 020 「チョコレイト・ディスカッション」 ◆sPL2BgePzw 黎明 C-8 赤川菊人、サリー・レスター 021 隠れます!!ビビってるわけではない!! ◆Bmn./sC95Q 未明 B-8 隠れん坊 022 怒るは正当なり ◆Bmn./sC95Q 未明 H-9 怒りん坊 023 金の恨みは恐ろしい ◆Bmn./sC95Q 未明 I-4 レプラコーン 024 「折り鶴の檻は壊される。逃げても、無駄だ」 ◆sPL2BgePzw 早朝 F-2 高山信哉、PicoPico.2008 025 弾丸の収集家 ◆Bmn./sC95Q 未明 C-1 bullet・collector(B.C) 026 負けたら失う ◆Bmn./sC95Q 未明 D-1 ジャスティン・ショット 027 「いただきます」 ◆sPL2BgePzw 黎明 B-4 暴れん坊、吉原美奈子、赤目のデュオ 028 死後も好きなものは好き ◆Bmn./sC95Q 未明 E-9 首なしライダー 029 用心棒はお人よし ◆Bmn./sC95Q 黎明 G-7 宮野陽子、ビアー・バーンズ 030 ナイトメアのハジマリ ◆X8NDX.mgrA 黎明 H-6 ラファエル・キルシュタイン、クラウン、イリス・ハンニバル 031 隠れる者は小心者 ◆Bmn./sC95Q 黎明 B-8 隠れん坊、飯綱景人 032 道化師の日記 ◆Bmn./sC95Q 黎明 F-9 村雨葵 033 蛇の従者はメカニカル ◆Bmn./sC95Q 黎明 F-8 カーミラ・フランケンシュタイン 034 「がさごそがさごそ」 ◆sPL2BgePzw 黎明 F-3 Mr.田中博士、佐藤勇、蟲之黒玄 035 「本に埋もれて死にたかった」 ◆sPL2BgePzw 黎明 F-2 ボー・エンザー、イサギヨWB-07、Many_arms(M-A023)、アイボタル 036 略奪をしよう ◆X8NDX.mgrA 黎明 C-2 bullet・collector(B.C)、ジャスティン・ショット、斉藤花子 037 ストレス発散って大切だよね ◆Bmn./sC95Q 黎明 G-8 怒りん坊 トップページへ